栄養療法について

栄養療法とは?

栄養療法というと、ちゃんと栄養を摂って、病気や気になる症状を治していくもの…となんとなく察しがつくというか、イメージ出来ますよね。

もう少し踏み込んでお話すると、普通の検査よりかなり項目数の多い血液検査や、腸内細菌を調べるための便検査、尿検査などを行って、ひとりひとりの体の状態をしっかりと調べたうえで、その人に必要な栄養素を、食事や医療用サプリメントなどで補っていくというもの。

その栄養療法のベースとなっているのが、分子栄養学

分子栄養学って聞くと、なんか理系っぽくて、小難しそう…。
普通の栄養学と、何が違うの?

オーソモレキュラーとか栄養療法って聞いたことあるけど、なんか高いサプリメント買わされるんじゃないの?

など、初めて『分子栄養学』や、『オーソモレキュラー』という言葉を目にした方、あるいは、なんとなく聞いたことはあるという方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、分子栄養学って何?という点について、こちらで説明したいと思います。

分子栄養学とは?

分子栄養学の語源

栄養療法のベースとなる『分子栄養学』については、他にも『分子整合栄養医学』、『オーソモレキュラー療法』などという言われ方もします。

分子整合栄養医学 = オーソモレキュラーの語源は、

オーソ(整える) モレキュラー(分子) メディスン(医学)

ということになります。

カンタンに言うと、分子を整える栄養医学ということです。

でも、分子を整えるというのも、なんだかよくわからないですよね。

人間は約37兆個の細胞から出来ていると言われています。

人が病気や体調不良になる場合、例えば、胃が痛ければ胃腸科に行き、胃腸薬をもらって治そうとしますが、その病気や体調不良の原因は、痛い(不調がある)箇所の「臓器」ではなく、さらに突き詰めた先の「細胞」にあるということ。

そして、細胞を構成し、機能させるのが、分子すなわち栄養素。

その人その人にとって、本当に必要な栄養素を補うことで、細胞から元気にし、健康になっていこうというのが、分子栄養学 = 栄養療法なのです。

そのために、その人の細胞が、今どんな状態にあるのか?

この点を、まずはしっかり把握することが重要。

細胞の状態を把握し、必要な栄養素が何で、どのくらいの量が必要なのかを導き出し、そして、病気や不調を細胞から改善していこうというのが、分子栄養学の基本的な考え方なのです。

分子栄養学の提唱者

この分子整合栄養医学を命名し、提唱したのが、2度のノーベル賞を受賞した科学者、ライナス・ポーリング博士

1960年代のお話です。

この方は、ビタミンCが風邪の予防、改善に効くといったことや、ビタミンCの大量投与によって、ガン患者の生存期間が延長されたなどの研究を発表した方。

そして、ポーリング博士と交流があり、オーソモレキュラー医学を臨床的に確立したのが、エイブラハム・ホッファーという精神科医。

ナイアシンという栄養素によって、統合失調症を治療し、社会復帰させたなど、栄養療法による精神疾患やガンの方の治療を行った方です。

今までの栄養学とは何が違うの?

従来の栄養学は、『日本人の食事摂取基準(栄養所要量の名称から改定)』に基づいて、性別や年齢別、運動量(身体活動レベル)の違いなどによって、一律これくらいの栄養を摂ったらいいですよという指針となるものです。

健康増進や、栄養欠乏を補うために、栄養を摂取するという考え方です。

それに対して、分子栄養学では、細胞の状態を正常化するためのものです。

そのため、性別や年齢別といったおおまかなくくりではなく、ひとりひとりの個体差や目的によって、必要な栄養素やその必要量が変わってくるという考え方。

つまり、同じ性別、年齢、運動量だとしても、ストレスが多い人、あるいは、アレルギーのある人とでは、必要な栄養素が違ってくるわけです。

栄養療法ってどんな症状に効くの?

普通、何か気になる症状や痛みなどがあると、病院に行きますよね。
だけど、検査してみたけど、特に異常なしと言われた。

なんで? 実際につらい症状があるのに。

あるいは、ずっと病院の薬を飲んでいるけど、治らない。
このまま薬を飲み続けていいの?

そんな不安にかられている方もいらっしゃるかもしれません。

アトピーや花粉症など、アレルギー症状に悩んでいる
✅動悸や息切れがする 疲れやすい
✅夜眠れない 夜中に目が覚める
✅イライラ・気分の落ち込みがひどい
✅うつと診断され、薬を飲んでいるが改善しない …etc

栄養療法は、例えば上記のような、慢性的に続く症状や、病院に行くほどではないけどなんとなくつらい、あるいは、心の不調で悩んでいるといったような方におすすめです。

今現在の体の状態を把握して、本当に必要な栄養素をしっかりと摂ることで、つらい症状を自分の力で治していくことが可能なのです。

栄養療法って具体的には、どんなことをするの?

栄養療法を行うクリニックのほとんどが自由診療

慢性的な症状や病気がある方で、対症療法ではなく、根本的に体質改善をしたいという場合、栄養療法を行うクリニックということで検索すると、いろんなクリニックが出てくると思います。

ただし、おそらくほとんどのクリニックが、自由診療での診察になると思います。

つまり、保険が利かないということですね。

ここがお財布にツライところなんですよね。

そして、クリニックでは、具体的にどんなことをするのか?
私自身の体験で、お話したいと思います。

まずは、診察でこれまでの経緯などを伝え、その上で、先生が必要と判断した検査をいくつか受けます。

自分の細胞が、今どんな状態にあるのかを把握するためですね。

ちなみに私の場合、受けた検査は以下のとおり。

栄養解析検査 クリニックでの血液検査
ミネラル・重金属検査 クリニックでの検査(手のひらに光を当てるだけで測定出来る)
副腎皮質ストレス検査 検査キットを持ち帰り自宅で検査(唾液採取)
広範囲大便分析検査        〃       (便採取)
有機酸検査        〃       (尿採取)

これらの検査の中には、海外のラボに検体を送って調べるというものもあり、そのため全ての検査結果が揃うまでに、約4週間かかりました。

さて、4週間近く手ぐすね引いて待ち焦がれ、ようやくクリニックから検査結果が揃ったとの連絡が来たので、再診の予約。

再診の際に、私の検査結果について、先生からの説明を受けました。

私に必要な栄養素がわかり、その上でサプリメントの処方や、食事指導を受けます。

次の2か月後の診察まで、食事日記を付けるようにと、ノートも渡されました。

また、副腎皮質ストレス検査の結果から、糖質コントロールも必要とのことで、24時間血糖値の測定が出来る器具も装着するよう言われました。

栄養療法では、点滴などもすることがあるようですが、私の場合は、点滴は必要ないようでした。

でも、栄養療法って、検査代も高いし、指示されるサプリメントも、人によって種類や量は違いますが、数種類は飲む必要があります。

それって、いったいいくらくらいかかるの?

って、ココが一番気になるところだと思いますので、これについても別記事で、あくまで私の場合ですが、ご紹介したいと思います。

栄養療法っていくらかかる? 栄養療法のクリニックに行こう!と決意した時点で、いったいいくらくらい費用がかかるんだろう…というのは、とても気になる点だと思います。 ...

栄養療法の基本は、日々の食事から

何か慢性的な症状や病気をお持ちの方で、なかなか良くならず悩んでいるという方は、栄養療法を行うクリニックで、ご自身の体の状態を一度しっかりと調べてみるのもいいのではないかと思います。

でも、何よりもまずは、毎日の食事が大切!

クリニックに行って、たくさんのサプリメントを処方されて飲んだとしても、日々の食事内容を改善しなければ、意味がないからです。

特に、子どもの頃から食べてきたものの積み重ねというのが、大人になってから、必ず影響が出てきます。

それはもう、私自身が実感しています。

ふだんの食事の中で、ほんのちょっと意識を変えてみるだけで、数か月で心身の不調が消えたり、健康を取り戻すことも可能なんだと思います。

ふだんの食事の中で出来る、細胞から元気になるための情報も、このブログでお伝えしていきたいと思います。