栄養療法を始める、あるいは分子栄養学を勉強し始めたりすると、『副腎疲労』という言葉がやたら目につくようになります。
これまでの人生で、普通の病院、内科などに行ったとき、少なくとも私は、「あなたは副腎疲労ですね」なんて一度も言われたことはなかったんですけどね。
でも、栄養療法のクリニックでは、よくこの言葉が出てくるようですし、実際、私が慢性蕁麻疹で診てもらったクリニックでも、そう言われました。
普通の内科などではあまり聞かない、だけど栄養療法のクリニックでは盛んに飛び交う(?)この『副腎疲労』という言葉、ちょっと調べてみました。
副腎疲労とは?
まず、副腎というのは、腎臓の上に小さくちょこんと乗っかっているような形の、対になった臓器のことです。
この副腎からは、さまざまな、体にとってとても重要なホルモンを分泌しています。
その中のひとつ、コルチゾールというホルモンは、心身が過度なストレスを受けると、そのストレスに対抗するため、急激に分泌量が増えます。
そのため、別名ストレスホルモンとも呼ばれています。
このコルチゾールは、体だけでなく、心の健康状態にも大きく関わっているんですね。
例えばうつ病の患者のコルチゾールの値が高いことからも、心と深く関わっていることがわかります。
そして、このストレスホルモンのはたらきはというと…。
ストレスホルモンのはたらき
- 血糖を上げる
- 血圧を上げる
- 炎症、アレルギー症状を抑える
ストレスホルモンは、心身のストレスが過多になると、一生懸命働いてくれるんですね。
例えば、コルチゾールは、通常、朝に一番分泌が盛んで、夕方になるにつれて徐々に減少、夜にはかなり分泌が抑えられて、安らかに眠りにつくことができるというのが、正常な一日のパターン。
だけど、心身のストレス状態が続くことで、コルチゾールの分泌が過剰となります。
その状態が長く続くと、副腎の機能が低下して、今度はコルチゾールの分泌量が減少。
それによって、不眠や疲れなど、心身の不調があらわれ始めるということになります。
この、副腎が機能低下におちいった状態のことを、『副腎疲労』っていうんですね。
ちなみに、ストレスホルモンと言われるものには、他にアドレナリン、ノルアドレナリンなどもあります。
もう少し詳しく言うと、コルチゾールが副腎皮質という、副腎の外側の部分から分泌されるのに対して、アドレナリンやノルアドレナリンは、副腎の内側の部分、副腎髄質から分泌されます。

ちょっと難しいね。
先行こっ。
副腎疲労ってどんな症状?
例えば、こんな症状はないでしょうか?
✅いつも疲れている。体がだるい。
✅夜寝つきが悪い。夜中に目が覚める。
✅朝起きられない。
✅集中力がない。忘れっぽくなった。
✅すぐに風邪をひく。
など、この他にも、病院に行くほどではないけど、でもずっと続いている…なんて症状はないですか?
実は、こういったなんとなくの心身の不調を感じている方の多くが、この副腎疲労になっている可能性があるらしいのです。
そして私も、『慢性蕁麻疹』という、立派な(?)不調があるため、そして検査の結果からも、やはり副腎疲労だと言われました。
慢性蕁麻疹を根本的に治すぞ!という意気込みで飛び込んだ栄養療法のクリニック。
そこで言われたことは、これからの治療の過程をピラミッドで表すとしたら、副腎疲労を治すということが、一番下の土台なんだそうです。
まずここから治していきましょう…と、最初の段階で言われました。
副腎疲労かどうかどうやったらわかるの?
では、自分が副腎疲労なのか、どうやったらわかるのか?
これを調べるのに唾液コルチゾール検査というものがあります。
私も受けました。
自宅での検査になるので、クリニックから検査キットが渡されるんですね。
それを自宅に持ち帰り、小さな容器に唾液を採取して、宅配で検査機関に送ります。
唾液の採取は、
- 朝起きたとき
- 正午
- 夕方
- 就寝前
この4回になります。
小さな容器に唾液を入れるんですが、量は1回に2ml~3ml。
この量、意外と多くてですね、そんなにツバが出ないんです。
説明書にも書かれてますが、梅干しやレモンを思い浮かべて下さいとか、ほっぺたをすぼめて、口の中の唾液をすべて吸い上げようとするのだけど、これが結構苦労しましたね。
さて、結果が出るのには2~3週間ほどかかり、自宅でなく、診察してもらったクリニックの方に結果が届きます。
私は他の検査も受けているので、すべての検査結果が出揃ってから、「結果を聞きにいらして下さい。」との連絡を受け、クリニックに再び出向いたという流れです。
副腎疲労を治すためにはどうするの?
そして、唾液コルチゾール検査の結果から、やはり副腎疲労だという診断を受け、さてこれからどうするのか?
上に書いた、「ストレスホルモンのはたらき」の中に、血糖を上げるという項目がありましたね。
普段、食事をしていて、時間が経つと、だんだんと血糖値は下がってきます。
そこで、また次の食事の時間がやってきて、食事をするとまた血糖値は上がります。
ところが空腹時間が長かったりすると、血糖値が下がり過ぎてしまうので、そうすると、副腎からストレスホルモンである、コルチゾールやアドレナリンなどが出てきて、必死に血糖値を上げようとします。
そして、コルチゾールなどによってグン!と上がった血糖値は、上がり過ぎてしまうと、今度は膵臓からインスリンというホルモンが出て、一生懸命下げようとします。
長い空腹時間の後に、食事をしたときや、甘いものを食べたときにも、血糖値は上がり過ぎ、そのため、今度はインスリンが頑張ってはたらき、下がり過ぎてしまう。
つまり、血糖値の乱高下が起きるんですね。
この「乱高下」の状態っていうのが、自分たちは意識していなくても、実は体にとっては、ものすごくストレスに感じてしまうんです。
精神的なストレスでもコルチゾールが出ちゃうのに、自分では気づいていない体のストレスなんかで、コルチゾールをいっぱい使っちゃ、もったいないですよね。
そこで、血糖値の乱高下をなくそう!というのが、副腎疲労を治すためのポイントになるわけです。
つまり、血糖値の乱高下をなくす = 血糖値を安定させる
ということなんですね。
では、血糖値を安定させるにはどうするのか?
これは、食事の摂り方でうまく安定させることが可能なのです。
血糖値を安定させるために、これからの食事指導の中で、私が指示されたのがこちら。
- 急激に血糖値を上げる、甘いもの(白砂糖)を摂らない
- 食後2時間経ったら、次の食事までの間、補食をする
この『補食』というのは、あまりなじみがないかもしれませんね。
実際に私がおこなっている補食については、こちらの別記事に紹介していますので、ご覧になって下さい。

また、血糖値を自宅にいながら、24時間監視してくれる器具の装着も、クリニックから指示されました。
これは、Amazonなどで誰でも購入出来る装置で、自分の血糖値がどんな動きをしているのかチェックしてみたい方にはオススメです。
こちらについても、別記事で詳しく書いてます。

ということで、慢性蕁麻疹を治すためには、まず副腎疲労の状態を治すこと。
そして、そのためには、常に血糖値を安定した状態に保つこと。
これまでの人生でほぼ馴染みがなかった、『副腎疲労』や『血糖値』というワードを、これからは意識していくことになりそうです。